10/28/04 Thursday. in Osaka

ちょっと前に書いた日本熊森協会っていう団体のドングリ撒き餌付けについて。強行するっぽい。

ワタシには極めて当然なのですが、地元の自然博物館の学芸員氏をはじめ、生態学の学生さんも専門家のメーリングリスト上でのやり取りを加味して反駁。ワタシがなぜ反対するかの理由は、WWFJapanが環境省に提出した要望書の最後に簡潔にまとめられていました。

(以下引用)ドングリをまくことの是非

なお、緊急的に山にドングリをまいたらどうかという提案がありますが、以下のような問題があるとクマの研究者や生態学の専門家から強い異論が出ています。

地面におかれたドングリは、瞬時に他の動物(ネズミ、リス、イノシシなど)の餌になる。必ずクマがそれを見つけて食べる状況にはない。

少々のドングリではクマの空腹には焼け石に水。また効果があるほどまけば、ドングリを食べる動物を増加させ、別の問題を引き起こす。

野生動物は秋の実りの多寡によって個体数を調節しており、人為が介入するべきではない。

それぞれの地域にその地域のドングリを食べる動物がいる。ドングリを拾ってよその地域に移すと、その地域の動物の食糧を奪うことになる。

ドングリや山の植物は自然の現象として、豊作の年と凶作の年がある。豊作の時にはネズミやクマが増え、凶作の年には減るという自然のサイクルとなっている。

ドングリにも本来の生育地があり、由来の不明の他地域のドングリをばらまくべきではない。(遺伝的攪乱の問題)

ドングリには少なからずドングリを食べる虫が付いており、それらの病害虫の管理なしにむやみに他の地域に持ち込むのは植物防疫上も問題。

クマが、人のにおいの付いた大量のドングリを食べて、人のにおいとドングリという食べ物を関連づけて「人の気配=餌にありつける」と学習した場合には、かえって危険な状況になる。(引用終わり)

しかし、いろいろなウェブログを拝見すると、「あらいいアイディアね、クマもお腹すかせて可哀想だし」的な意見が存外に多い。ペットを飼うのがブームになるのはかまいませんが、人間と野生動物との関わり合いまでもをペットとのそれにイミテーションするのは間違っていると思います。